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労務管理とは?業務内容・課題・効率化まで徹底解説【2025年最新版】

給与・社保・人事労務

従業員の労働環境を整える労務管理は、業務範囲が幅広く「理解が追いつかない」と感じるかもしれません。たしかに、労働条件の管理から福利厚生、社会保険の手続きなど、さまざまな業務内容に対応しなければなりません。そこで今回は、労務管理の定義や業務内容、課題などについて、詳しく解説します。

労務管理とは?人事管理・総務との違いをわかりやすく解説

労務管理に関して、以下の3つの視点で説明します。

<労務管理とは?>

・労務管理の定義

・労務管理を行う目的

・人事管理・総務との違い

順番に見ていきましょう。

労務管理の定義

労務管理とは、従業員の労働条件や労働環境を整えるための業務です。勤怠管理や給与計算、社会保険の手続き、福利厚生などが含まれます。従業員が安心して働ける環境を提供することを目的としており、企業の規模に関係なく、全ての企業において不可欠な業務です。労働状況の記録や就業規則の作成も労務管理の一部であるため、労働法に基づいた正しい管理が求められます。

労務管理を行う目的

労務管理を行う目的は、法令遵守とリスク回避です。企業は、労働基準法や最低賃金法などの法令を遵守して、社会的責任を果たさなければなりません。法令を遵守した結果、違反による罰則や評判の低下といったリスクを回避できます。次に、労働環境の整備を通じて従業員のモチベーションを高め、企業の生産性を向上させるのも目的です。労働条件や労働環境が整っていれば、従業員は安心して仕事に集中できるため企業全体の業績向上につながります。

人事管理・総務との違い

人事管理は労務管理と同様に、従業員に関連する業務であるものの担当する内容が異なります。人事管理は採用や教育、評価、人員配置など「人材に関する業務」を担当します。一方、労務管理は給与計算や勤怠管理、福利厚生、労使関係管理といった「労働に関する業務」が対象です。また、会社全体の事務業務を担当する総務は、労務業務を兼任する場合もあるものの普段は備品の発注や施設管理、イベントの企画などの業務に従事します。

労務管理の具体的な業務内容

ここからは労務管理の具体的な業務内容を見ていきましょう。

<労務管理の業務内容>

・労務管理の年間スケジュール(入社から退社まで)

・主な労務管理の必須業務

・その他の労務管理業務

労務管理の年間スケジュール(入社から退社まで)

労務管理は毎年発生する業務が多いため、年間スケジュールの把握は重要です。3月から7月は、入社や退社が集中する時期であるため、社会保険の手続きや給与処理、退職金計算などの業務が集中します。4月には新入社員の社会保険手続きや給与処理が必要で、6月から7月にかけては住民税額の変更や労働保険料申告書の提出が行われます。10月には被扶養者状況再確認リストの提出があり、12月は年末調整への対応が必要です。労務管理の業務は多岐にわたるため、事前にスケジュールを確認してミスを防ぎ、効率的に進めましょう。

主な労務管理の必須業務

労務管理の主な業務は、給与計算や勤怠管理、社会保険の手続きなどです。給与計算は毎月行われ、勤怠情報を基に基本給や時間外勤務手当を計算し、社会保険料や税金を控除して手取り額を算出します。勤怠管理は出勤・退勤時間や休暇の管理を含み、正確な記録が求められます。社会保険の手続きには健康保険や厚生年金、雇用保険の申告や納付が含まれ、これらは法令に基づいて行われます。

その他の労務管理業務

その他の労務管理業務には、就業規則の作成・改定や健康診断の実施、ハラスメント防止対策などがあります。就業規則は企業と従業員の約束事を明文化し、常時使用する労働者が10名以上いる場合は作成しなければなりません。健康診断は従業員の健康を確認し、職場環境の改善に役立てるために実施されます。パワハラやセクハラなどのハラスメント防止対策も労務管理の重要な一部です。

労務管理における3つの課題

企業が適切な労務管理を行う際には、以下の3つの課題に対処しなければなりません。

<労務管理における3つの課題>

・法令遵守の徹底

・多様化する働き方への対応

・労務管理業務の効率化

各課題について順番にチェックしましょう。

法令遵守の徹底

労務管理を遂行する際に、法令遵守の徹底は不可欠です。労働基準法や最低賃金法など、関連する法令を遵守して、違反による罰則や評判の低下を防止しなければなりません。労働時間や休憩時間の管理、最低賃金の適用、労働者名簿や賃金台帳の正確な作成などが管理の対象です。法令の改正にも対応する必要があるため、最新情報を常に把握しスムーズな対応が求められます。

多様化する働き方への対応

近年、テレワークやフレックスタイム制などの多様な働き方が普及しています。労務管理も多様な働き方に柔軟に対応しなければなりません。在宅勤務やリモートワークの場合、従来の勤怠管理や労働時間の把握が困難です。適切な就業規則の改定や、労働時間の管理システムの導入が求められます。適切な管理を行えば、従業員のワークライフバランスを改善し、モチベーションの向上にもつながります。

労務管理業務の効率化

労務管理業務は煩雑であるため、時間がかかりミスの生じるリスクも高いです。業務の効率化を進める場合には、労務管理システムの導入が効果的です。給与計算や勤怠管理、社会保険手続きなどを自動化されるため作業時間の短縮が期待できます。データの正確性も向上するため、法令遵守の徹底にも効果的です。クラウドベースのシステムを利用すれば、在宅勤務やリモートワークでもアクセスできるため業務の柔軟性も高まります。

労務管理の改善が企業にもたらす効果

労務管理の改善は、企業にさまざまな効果をもたらします。主な効果は以下の3点です。

<労務管理の改善が企業にもたらす効果>

・生産性の向上

・企業の運営効率向上

・コスト削減

各効果について順番に解説します。

生産性の向上

労務管理の改善は企業の生産性向上をもたらします。労働環境も整い従業員が安心して仕事に集中できるため、仕事の質や効率の向上につながるからです。特に、適切な労働時間管理や福利厚生の提供は、従業員のモチベーションを高め長期的な成果をもたらします。

企業の運営効率向上

労務管理が改善されると、給与計算や勤怠管理、社会保険手続きなどが自動化され業務の負担が軽減されます。管理部門のスタッフを他の重要な業務に配置転換できるようになり、企業全体の運営効率が向上するのです。

コスト削減

労務管理の改善は企業のコスト削減にも寄与します。無駄な時間やリソースを削減できるため、管理コストを抑えられるからです。適切な労働環境を提供すれば、従業員の離職率を低減し、人材育成や採用にかかるコストも削減できます。

まとめ

労務管理は、従業員の労働環境を整える重要な業務です。業務内容は給与計算や勤怠管理、社会保険の手続きなど多岐にわたっているにもかかわらず、法令遵守も求められるためミスの許されない業務です。

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