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労務トラブルを未然に防ぐ!経営者のための「労務相談」活用ガイド|相談先と内容をケース別に解説

給与・社保・人事労務

労務相談は、複雑化する労働問題から企業を守り、健全な職場環境を築くための重要な手段です。「この解雇は法的に問題ないか」「ハラスメントにどう対応すべきか」など、人事労務に関する悩みを抱えている方もいるでしょう。

本記事では、労務相談で解決できる具体的な内容から、社労士と弁護士の選び分け、そして専門家の選び方について解説します。労務リスクを低減したい担当者はぜひ最後までご覧ください。

労務相談とは

労務相談とは、採用から退職に至るまでの「ヒト」に関するあらゆる事柄について、法律や実務に基づいた専門的なアドバイスや支援を受けることを指します。企業の成長に人材の力は不可欠ですが、同時に労働基準法をはじめとする複雑な法律や、多様化する働き方への対応、そして予期せぬ労使トラブルといったさまざまなリスクも伴います。健全な職場環境を維持し、企業の持続的な成長を支えるためには労務相談をうまく活用しましょう。

労務相談で解決できる主な内容

労務相談がカバーする範囲は非常に広く、企業の「ヒト」に関するほとんど全ての悩みが対象となります。ここでは、以下の7つのカテゴリーに分けて解説します。

<労務相談の主な内容>

  • 採用・入社に関する相談
  • 労働時間・休暇に関する相談
  • 賃金・人事制度に関する相談
  • 休職・復職に関する相談
  • ハラスメントに関する相談
  • 退職・解雇に関する相談
  • 就業規則・各種規程に関する相談

採用・入社に関する相談

企業の入り口である採用活動には、多くの法的な注意点が存在します。求人票の記載内容が実態と異なっていないか、面接で聞いてはいけない差別につながる質問をしていないか、内定取り消しが法的に可能か、試用期間中の解雇は有効か、といった相談が典型例です。

労働時間・休暇に関する相談

労働時間の管理は、労務相談の中でも特に相談件数が多い分野です。時間外労働の上限を定める36協定の適切な締結・運用、残業代の未払い問題、管理監督者の範囲の妥当性、変形労働時間制やフレックスタイム制の導入、そして年次有給休暇の取得義務への対応などが主な相談内容です。

賃金・人事制度に関する相談

従業員のモチベーションに直結する賃金や人事制度の設計・運用も、専門的な知見が求められる分野です。基本給や手当を定めた賃金規程の見直し、成果と連動した評価制度の構築、最低賃金法や割増賃金の正しい計算方法、そして同一労働同一賃金の原則に沿ったパート・契約社員の待遇決定などが相談の中心となります。

休職・復職に関する相談

従業員の私傷病やメンタルヘルス不調による休職、そしてその後の復職は、慎重な対応が求められるデリケートな問題です。休職命令の出し方、休職期間中の社会保険料の取り扱い、復職可否の判断基準、主治医との連携方法、試し出勤制度の導入、そして復職後の業務配慮など、相談内容は多岐にわたります。

ハラスメントに関する相談

パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントなど、職場におけるハラスメント対策は、今や企業の義務です。パワハラ防止法に基づいた相談窓口の設置や従業員研修の実施といった予防策から、実際に相談があった際の対応フローまで、実務的な相談が多く寄せられます。

退職・解雇に関する相談

従業員の退職や解雇は、労使トラブルに発展しやすい場面のひとつです。解雇の有効性、適切な退職勧奨の進め方、解雇予告手当の計算、自己都合退職と会社都合退職の判断基準など、出口戦略に関する法的なリスクを最小限に抑えるための相談が不可欠です。

就業規則・各種規程に関する相談

就業規則は、職場のルールを定める「会社の憲法」とも言える重要な規程です。労働基準法などの法改正に内容が対応しているか、テレワーク規程や育児・介護休業規程といった新しい働き方に合わせた規程が整備されているか、そして作成・変更した規程が従業員に正しく周知されているかなど、作成から運用まで幅広く相談できます。

相談先はどこ?弁護士と社労士の役割と選び分け

次に、主な相談先である弁護士と社労士について、以下の視点で解説します。

<労務相談の専門家>

  • 社会保険労務士(社労士):労務管理の「構築」と「予防」のプロ
  • 弁護士:労務トラブルの「解決」と「紛争対応」のプロ
  • 【ケース別】どちらに相談すべき?

社会保険労務士(社労士):労務管理の「構築」と「予防」のプロ

社会保険労務士(社労士)は、人事労務管理の専門家です。主な役割は、労働関連法規や社会保険制度に基づき、企業が健全な労務管理体制を構築・運用できるようサポートすることです。就業規則の作成・変更、労働・社会保険の手続き代行、助成金の申請、給与計算、人事評価制度の設計などが得意分野です。

弁護士:労務トラブルの「解決」と「紛争対応」のプロ

弁護士は、法律全般の専門家であり、特に紛争解決のプロフェッショナルです。労務分野においては、既に発生してしまった、あるいは発生しかけている労使間のトラブルへの対応が主な役割となります。

【ケース別】どちらに相談すべき?

社労士に相談すべきケースは、制度構築や日常的な運用、予防に関する相談が中心です。一方、弁護士に相談すべきケースは、具体的な紛争が発生している、または発生が目前に迫っている場合です。問題が複雑化する前にまず社労士に相談し、法的紛争に発展しそうな場合に弁護士に引き継ぐ、という連携も有効です。

自社に合った専門家の選び方5つのポイント

ここでは、数ある社労士や弁護士の中から、自社に最適な専門家を選ぶための5つの実践的なポイントについて解説します。

<専門家選びのポイント>

  • 労働問題(使用者側)の専門性と実績
  • 自社の業界への理解度
  • コミュニケーションのしやすさ
  • 料金体系の明確さ
  • 予防法務への姿勢

労働問題(使用者側)の専門性と実績

最も重要なのが、労働問題を専門的に取り扱っており、特に「使用者側(会社側)」での実務経験が豊富であるかという点です。労働問題の中でも、労働者側の代理人を主に務める専門家と、使用者側の顧問を主に務める専門家とでは、ノウハウや視点が異なります。企業の立場に立って、実践的なリスク回避策や解決策を提示してくれる、使用者側での実績が豊富な専門家を選びましょう。

自社の業界への理解度

労務問題は、業界特有の慣行や働き方が深く関わっていることが少なくありません。自社が属する業界のビジネスモデルや特有の労務課題について、知識や取り扱い経験がある専門家であれば、より実態に即した的確なアドバイスが期待できます。過去の顧問先の業界などを確認してみると良いでしょう。

コミュニケーションのしやすさ

専門家とは、長期的なパートナーシップを築く可能性があります。そのため、専門的な能力だけでなく、担当者との相性やコミュニケーションのしやすさも重要です。専門用語を多用せず、平易な言葉で分かりやすく説明してくれるか、質問に対して迅速かつ丁寧に対応してくれるか、気軽に相談できる雰囲気があるか、といった点を確認しましょう。

料金体系の明確さ

労務相談にかかる費用は、相談先や契約形態によって異なります。後々のトラブルを避けるためにも、料金体系が明確に提示されているかは必ず確認すべきポイントです。相談料が時間制なのか月額制なのか、顧問契約に含まれるサービスの範囲はどこまでか、訴訟対応など特別な案件を依頼した場合の追加費用(着手金・成功報酬など)はどうなるのか、といった点を事前に詳しく説明してくれる専門家を選びましょう。

予防法務への姿勢

労務問題は、発生してしまってから対応すると多大なコストと時間がかかります。そのため、いかに問題を未然に防ぐかという「予防法務」の視点が極めて重要です。目先のトラブル解決だけでなく、長期的な視点で企業の労務リスクを分析し、就業規則の整備や社内研修の実施など、 予防策を積極的に提案してくれる専門家は、企業の持続的な成長を支える頼れるパートナーとなり得ます。

まとめ

労務相談は、企業の健全な成長と従業員の働きやすい環境を守るための不可欠な経営判断です。特に、採用から退職までの各フェーズで発生しうる多様な労働問題に対し、法的なリスクを未然に防ぐ「予防法務」の視点が重要となります。

対応の基本は、問題の性質に応じて適切な専門家を選ぶこと、そしてトラブルが発生する前の段階から継続的に相談できる信頼関係を築くことです。専門家と連携し、就業規則の整備や適切な労務管理体制を構築できれば、企業は法的なリスクを抑え、持続的な成長基盤を固めることができるでしょう。

自社での労務管理体制の構築が困難な場合は、EPCSの給与計算・社会保険アウトソーシングをご活用ください。高い専門的知識を持つ担当者が柔軟かつ臨機応変に対応しますので、安心してお任せいただくことができます。

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