コラム

ストレスチェック制度の義務化|罰則や目的、実施手順をわかりやすく解説

給与・社保・人事労務

一定の基準を満たす企業はストレスチェックの実施が義務化されており、経営者は従業員の心身の健康を維持して働ける環境を整える必要があります。

そこで本記事では、ストレスチェック制度の概要や目的、実施手順について詳しく解説します。

ストレスチェック制度とは?

ストレスチェック制度は、従業員のメンタルの不調を未然に防ぐために行われます。ストレスチェックを行えば、従業員がどのような種類のストレスを受けているか、どの程度のストレスを感じているかなどがわかります。

ストレスチェックでは、従業員に簡単な質問をしていきストレスの内容や度合いなどを把握します。従業員の回答を専門家が集計して分析を行い、結果を誰のものかわからないようにして企業が受け取ります。

企業は分析結果をもとに、従業員のメンタルヘルスに関するさまざまな対策を実施します。また、従業員は希望すれば医師の面談を受けることもできます。

近年、日本ではメンタルに関する不調を訴える従業員が増えています。そのため、企業が積極的に労働者のメンタルヘルスを維持できるように努める必要があります。

会社にとって従業員は非常に大事な存在であり、従業員の心身の健康が損なわれると会社にとって大きな損害になってしまいます。そのようなことが起こらないように、日頃から従業員の健康に気を配る必要があるでしょう。

ストレスチェック制度の義務化とは

ストレスチェック制度は、労働安全衛生法によって従業員数が50人以上である企業に対して義務化されています。なお、労働安全衛生法に規定されている労働者は正社員やアルバイトを指し、短期契約の方は含まれないとされています。

対象企業は、毎年1回以上ストレスチェックを行わなければなりません。ストレスチェック制度の対象となるのは、契約期間が1年以上もしくは、かつ1週間の労働時間が通常の労働者の所定労働時間数の3/4以上の従業員です。

労働契約の視点では、契約期間が1年以上の労働者とは「期間の定めのない労働契約により使用される者及び期間の定めのある労働契約により1年以上使用されることが予定さてている又は1年以上引き続き使用されている者」を指します。

自社はストレスチェックの対象になっているのか、また対象になっている場合はどの社員に対してストレスチェックをすべきなのか、ぜひ確認してみてください。

義務に違反した場合の罰則は?

ストレスチェックが義務づけられている企業がチェックを行わなかった場合、罰則はありませんが労働契約法に規定される安全配慮義務に違反する可能性があります。また対象企業がチェックを実施しても、労働基準監督署に報告しなかった場合には最大50万円の罰金が科せられます。

ストレスチェック制度の目的

ストレスチェック制度が義務化された目的は従業員の健康維持です。しかし、ストレスと職場環境における関係も理由として考えられます。

なぜなら、日本では精神障害による労災請求件数が年々増えているからです。厚生労働省の令和3年度「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害に関する労災補償の請求件数は2,346件で、前年より295件増えていました。請求のうち支給決定案件数は629件であり、その出来事としては「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」がもっとも多く、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」などの理由もありました。

メンタルに不調をきたす労働者が増えていることから、企業は適切な対策を講じる必要があります。そのために、従業員のストレスチェックが必要とされているのです。

まずは、従業員のメンタルや職場環境はどうなっているのか把握することが重要です。従業員はストレスを感じていても、上司に言いにくい場合も多いです。

そのため、ストレスチェックの実施は非常に有効と言えます。企業としても、従業員の急な離職や人員不足を防ぐなどのメリットがあります。社員満足度が高い企業は生産性が高い傾向があるため、売上の向上も期待できるでしょう。

ストレスチェック制度の実施手順

ストレスチェックの実施手順をまとめましたので、行う際には参考にしてください。

①事前準備をする

まずストレスチェックに関する準備は、事業所の「衛生委員会」で行われます。衛生委員会は、以下のメンバーで構成されます。

<衛生委員会のメンバー>

  • 統括安全衛生管理者または事業の統括管理者もしくはこれに準ずる者(1名)
  • 衛生管理者(1名以上)
  • 産業医(1名以上)
  • 衛生に関する経験がある従業員(1名以上)

衛生委員会では、ストレスチェックの実施者や実施時期、質問票の内容などを話し合います。またストレスチェックの実施者は、産業医以外に保健師や一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士でも可能であり、外部委託することもできます。

➁質問票を配布して記入してもらう

ストレスチェックを行う際には、質問票を対象者に配布して記入してもらいます。具体的な質問としては、「非常にたくさんの仕事をしなければならない」、「時間内に仕事を処理しきれない」などが挙げられます。各設問に対して、4段階で感じる度合いを回答してもらうケースが多いです。

また回答内容については厳格に管理し、社内や外部に流出しないようにする必要があります。

➂結果を通知する

結果を集計・分析し、企業に結果を通知します。企業は結果を踏まえて、職場環境などを改善するための対策を行います。

④必要に応じて面接指導を行う

またストレス度が高い従業員で面談の希望があった場合には、医師に依頼して面談を行います。

まとめ

本記事では、ストレスチェック制度の概要や目的、実施手順について解説しました。ストレスチェックを行えば従業員のメンタルの不調を予防できます。

しかし、企業では日々業務に追われて、ストレスチェックなどを実施する時間や手間がないとお困りの経営者も多いのではないでしょうか?「株式会社EPコンサルティングサービス」では、経理などのバックオフィス業務を強力にサポートして従業員の健康をサポートするお手伝いをいたします。自社のストレスチェックが気になる方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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