コラム

今年も給与計算担当者の繁忙期がやってきました

給与・社保・人事労務

6月~7月は、給与計算業務に携わる方の繁忙期になります。

そこで、今回は、今年の繁忙期に実施する業務の諸々の処理・手続きについてのアウトラインをご案内させて頂きます。

定額減税(所得税)

6月給与・賞与より、月次定額減税処理が発生します。

制度の概要や詳細については、2024年2月と2024年4月のコラムでもご案内させて頂きましたが、月次減税に伴う給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(以下、納付書)の記載方法および提出、退職者源泉徴収票については、年内は注意が必要となります。

①納付書の記載方法

「支払年月日」、「人員」、「支給額」は毎月と同じように記入します。税額は、控除前税額の合計から月次控除額の合計を差し引いた後の金額(定額減税後の金額)を記載します。定額減税によって税額が0円の場合、納付書を管轄の税務署へ必ずご提出ください。

②退職した人(年末調整未了)の源泉徴収票

令和6年6月1日以後に給与所得者が退職した場合には、源泉徴収の段階で定額減税の適用を受けた上、再就職先での年末調整又は確定申告で最終的な定額減税との精算を行うこととなるため、「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄には、定額減税額等を記載する必要はありません。

なお、「源泉徴収税額」欄には、控除前税額から月次減税額を控除した後の実際に源泉徴収した税額の合計額を記載することになります。

定額減税(住民税)

毎年6月は住民税の新年度分の控除が開始されます。

今年は定額減税の影響で、6月に控除がない従業員もいらっしゃいますが、6月・7月・8月と税額変更のタイミングが例年より1回多い従業員がほとんどのため、控除額・納税額のチェックについて、例年よりも手間がかかる事となりますが、事業主側でもしっかりと管理が必要となります。

また、新年度から住民税の支払方法を特別徴収に切り替えたいと希望される従業員様(2024年の中途入社者など)もいらっしゃると思います。

特別徴収への切替手続きにあたり、普通徴収の納付書をご提出頂く事になりますが、普通徴収の納期限を過ぎた分は、特別徴収への切替はできませんので、納期限間際の分は、従業員様ご自身に納付して頂くようご案内を頂くと宜しいかと思います。

特別徴収に切替る分について、二重納付にならないようにご案内頂く事も必要となります。

社会保険定時決定(算定基礎届)

健康保険・厚生年金保険の被保険者および70歳以上被用者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、事業主は、7月1日現在で使用している全被保険者の3カ月間(4月、5月、6月)の報酬月額を算定基礎届により届出し、毎年1回標準報酬月額を決定し直します。これを定時決定といいます。

決定し直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。

提出漏れなく、期日までに提出をするよう、事業主はチェックを行う事が必要です。

①提出対象者

算定基礎届の提出の対象となるのは、7月1日現在のすべての被保険者および70歳以上被用者です。

ただし、以下の(1)から(4)のいずれかに該当する方は、算定基礎届の提出が不要です。

(1)6月1日以降に資格取得した方

(2)6月30日以前に退職した方

(3)7月改定の月額変更届を提出する方

(4)8月または9月に随時改定が予定されている旨の申し出を行った方

②提出期限

毎年7月10日です。

期日後でも届出は受理されますが、法定期日を守ってご提出頂くよう業務を進める必要があります。

※健康保険組合は、別途期日を設定されるケースもありますのでご注意ください。

労働保険年度更新

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます。)を単位として計算されることになっており、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっています。

労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算するという方法をとっています。

したがって、事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。これが「年度更新」の手続きです。

この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。手続きが遅れた場合、政府が保険料・拠出金の額を決定し、さらに追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を課す場合がありますので、ご注意ください。

EPコンサルティングサービス/社労士法人EOSでは、企業及び人事担当者が実施・検討すべき対応や決定をサポートしております。給与計算・社会保険・労務について、気になることがありましたら、是非一度お声がけ頂ければと思います。

角下 梨絵Rie Sumishita

HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士試験合格後、EPコンサルティングサービスに入社。現在、事業部のマネジ メントの他、外資系企業の給与計算、社会保険及び労務管理を中心に担当

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