コラム

試算表とは|作成するタイミングや、試算表を見る際のポイントを解説します

会計・経理・税務

試算表とは、企業の決算処理を行う際に役立つ集計表です。試算表を作成すれば、決算書類の正確性が大幅に高まります。また定期的に試算表を作成しておくことで、会計上のミスを事前に防ぐこともできます。

本記事では、試算表を作成する目的や試算表の種類、作成時のポイントなどについて詳しく解説します。

※ 本記事は、会計システムを利用している場合は通常自動的に行われる仕訳の総勘定元帳や試算表への転記を、本来的な手作業の方法で行う前提で記載しております。

試算表とは

試算表とは、決算処理を行う前に作成して帳票が正確に記載されているか確認するための集計表です。決算処理の過程では仕訳帳から総勘定元帳への転記が必要ですが、転記ミスや漏れが発生する場合があります。このような事態を防ぐために試算表を作成して、正確に転記されているかを検証するのです。

会計手続きの一般的な流れを解説します。会計手続きの一般的な流れは、仕訳、総勘定元帳への転記、決算整理、決算書(貸借対照表・損益計算書)作成となっています。たとえば1万円のコピー用紙を購入した場合、複式簿記で仕訳する場合を考えてみましょう。

(借方)消耗品費 10,000/(貸方)現金 10,000

このように仕訳して、消耗品費や現金などの勘定項目ごとに帳簿に転記します。その後、帳簿をもとに決算整理、決算書の作成を行います。

しかし、取引の数は膨大であるため仕訳が間違っている、金額の転記ミスが発生する可能性もあります。そのため、試算表を作成して集計結果が正しいことを確認する必要があるのです。

試算表を作成する目的

試算表を作成する目的には、帳簿ミスの確認以外にもさまざまな理由がありますのでご紹介します。

  • 定期的に試算表を作成して帳簿ミスを早期発見できる

決算期直前に試算表を作成するのではなく、日頃から定期的にチェックして早めにミスをつぶしましょう。会社の取引の数は膨大であるため、後でまとめて確認すると非常に手間がかかってしまいます。そのような事態を防ぐために、定期的に試算表を作成して早めにチェックするのが良いでしょう。

  • 会社の業績を詳しく確認できる

定期的に試算表を作成すれば、会社の業績を詳しく確認できます。たとえば月ごとに作成すれば会社の経営状況を細かく分析でき、より詳細に会社の業績確認や予測ができるでしょう。日頃から資産と負債のバランスや問題のある取引がないかを確認しておけば、会社経営を健全に進められます。

  • 融資を受ける際に役立つ

金融機関から融資を受ける際には、決算書を資料として提出する場合もあります。このとき、会計年度ごとの決算書だけでなく、直近の試算表があれば最新の経営状況を報告できます。金融機関としても判断材料が多い方が融資を検討しやすいでしょう。

試算表は3種類

次に、試算表の種類についてご説明します。それぞれ特徴が異なるため、わかりやすく解説します。

合計試算表

合計試算表とは、勘定科目ごとに借方、貸方の合計金額を集計する集計表です。一定期間の帳簿から、勘定項目ごとに借方、貸方それぞれの合計額を計算します。借方と貸方の勘定項目ごとの合計額と全体の合計額は一致するはずなので、一致しなかった場合は勘定項目にミスがあることがわかります。

合計試算表を活用すれば、一定期間に会社が行った取引の様子が一目でわかります。月末日や決算日に作成するケースが多く、定期的に作成しておけばその都度経営状況をチェックできます。ただ、勘定項目ごとに計算し直さなければならないので、作成には手間がかかる点に注意しましょう。

合計試算表を作成すると各勘定科目の合計金額を定期的にチェックできますが、残高は情報がないのでわかりません。そのため必要に応じて、次でご説明する残高試算表も作成すると良いでしょう。

残高試算表

残高試算表とは、勘定項目ごとに借方と貸方の差額である残高を計算するための集計表です。合計試算表の各勘定項目から、差額を計算します。

借方と貸方の残高合計が一致しない場合は、どこかに帳簿ミスがあることがわかります。ただ、合計試算表とは違い、どの勘定項目にミスがあるかはわかりません。

残高試算表を見れば各勘定項目の残高がすぐにわかり、財務状況を素早く把握できるメリットがあります。しかし、帳簿ミスがどこにあるのかがわかりにくいデメリットもあります。

合計残高試算表

合計残高試算表は、合計試算表と残高試算表の両方の特徴を持っています。勘定項目ごとの合計金額と残高が借方、貸方に分けて記載されています。

そのため、勘定項目ごとに帳簿ミスを見つけやすく残高がわかりやすいという両方の試算表が持つメリットがあります。しかし、両方の試算表を作成するのと同じ手間がかかる点がデメリットです。

試算表を作成するタイミング

試算表はいつ作成するかが明確に決まっているわけではありません。しかし、半期や四半期など決算書類を作成するスパンより、短いスパンで作成しないとあまり意味がないでしょう。なぜなら、試算表は決算書類を作成する前に帳簿ミスを見つけるための集計表だからです。

一般的には、1ヶ月単位かそれよりも短いスパンで作成するケースが多いです。短いスパンで帳簿ミスを見つけておけば、決算書類の作成をスムーズに進められます。

試算表を見る際のポイント

試算表を作成した場合、どのような点に注意して確認すべきなのでしょうか?本項目では、試算表を見る際のポイントについてご説明します。

➀合計金額が一致しているかどうか

試算表を作成したら、合計金額が一致しているかどうかを確認します。帳簿ミスを見つけるのが試算表の最大の目的なので、必ず確認しましょう。

ミスを見つけたいなら、正確な場所がわかる合計試算表がおすすめです。勘定項目にミスが見つかった場合には、転記ミスなどが発生していないか確認しましょう。

➁資産の状況が適切か

資産の状況が適切かどうかも試算表から確認できます。資産と負債のバランスが取れていないと、経営に問題が生じる可能性があります。負債が大きすぎると資金繰りが悪化するリスクがあるため、特に注意が必要です。

また極端に大きな数字の勘定項目がある場合は、経営に与える影響が大きいため要注意です。在庫を抱えすぎていないか、備品を買いすぎていないかなどを細かく確認しましょう。

➂利益の状況が適切か

想定通りの利益が出ているかも注意深く確認しましょう。仕入れに対して収益が少なすぎるといった場合、何らかの問題が発生している可能性があります。

まとめ

本記事では、試算表を作成する目的や試算表の種類、作成時のポイントなどについて解説しました。試算表を作成するには手間がかかりますが、決算処理をスムーズに行うためには非常に重要です。また試算表を作成すれば、会社の経営状況を一目で確認できるメリットもあります。

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