コラム
連結財務諸表とは|構成や作成する流れをわかりやすく解説
連結財務諸表とは、支配関係にある複数の企業の財務諸表を合算して作成した財務諸表です。企業グループ全体の財政状態や経営成績を把握する目的で作成されます。本記事では、連結財務諸表の目的、構成、作成の流れなどについて詳しく解説します。
連結財務諸表とは
連結財務諸表とは、支配会社とその子会社等からなる企業グループの財政状態および経営成績を明らかにするための財務諸表です。連結財務諸表は、支配会社が単独で作成する財務諸表(個別財務諸表)とは異なり、子会社等の財務諸表を合算して作成されます。
また連結財務諸表は、企業グループ全体の財政状態および経営成績を把握するために重要な資料です。投資家や金融機関は連結財務諸表を参考にして、企業グループへの投資判断を行います。さらに企業の経営者も連結財務諸表を参考にして、企業グループの経営戦略を立案・実行します。
つまり、連結財務諸表は企業グループ全体の財政状態および経営成績を把握するために非常に重要な資料です。そのため、企業は連結財務諸表を適切に作成する必要があります。
連結財務諸表の目的
連結財務諸表の目的は、企業グループ全体の財政状態および経営成績を把握することです。連結財務諸表は投資家や金融機関、企業の経営者など企業グループに関する情報を必要とするステークホルダーとって、重要な情報です。
連結財務諸表には、以下のようなメリットがあります。
- 企業グループ全体の財政状態および経営成績を把握できる
- 企業グループ全体のリスクを把握できる
- 企業グループ全体の経営戦略を立案できる
- 企業グループ全体の経営成績を評価できる
つまり、連結財務諸表は企業グループ全体の財政状態および経営成績を把握するために、非常に重要な資料なのです。
連結財務諸表の構成
連結財務諸表は連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュフロー計算書、連結株主資本等変動計算書の4つから構成されます。それぞれの書類について詳しく解説します。
連結貸借対照表
連結貸借対照表とは、支配会社と子会社等からなる企業グループの資産、負債、純資産を記載する書類です。支配会社が単独で作成する個別貸借対照表とは異なり、子会社等の財務諸表を合算して作成されます。
連結貸借対照表では、企業グループの資産、負債、純資産がわかります。資産は企業グループが保有する経済的価値の合計であり、負債は企業グループが負っている債務です。また、純資産は資産から負債を差し引いた残高です。
連結損益計算書
連結損益計算書とは、支配会社と子会社等からなる企業グループの経営成績を記載する書類です。支配会社が単独で作成する個別損益計算書とは異なり、子会社等の財務諸表を合算して作成されます。
連結損益計算書では企業グループの経営成績がわかり、企業グループの売上高、費用、利益が記載されています。売上高は企業グループが販売した商品やサービスの対価として受け取った金額であり、費用は企業グループが商品やサービスを製造・販売するために発生したコストです。また、利益は売上高から費用を差し引いた残高です。
連結キャッシュフロー計算書
連結キャッシュフロー計算書とは、支配会社と子会社等からなる企業グループのキャッシュフローを記載する書類です。支配会社が単独で作成する個別キャッシュフロー計算書とは異なり、子会社等の財務諸表を合算して作成されます。
連結キャッシュフロー計算書では企業グループのキャッシュフローが把握でき、企業グループの営業活動によるキャッシュフローだけでなく、投資活動によるキャッシュフローや財務活動によるキャッシュフローもわかります。
営業活動によるキャッシュフローは企業グループの事業活動によるキャッシュフローであり、投資活動によるキャッシュフローは企業グループの資産の取得・処分によるキャッシュフローです。また、財務活動によるキャッシュフローは企業グループの借入・返済によるキャッシュフローです。
連結株主資本等変動計算書
連結株主資本等変動計算書とは、支配会社と子会社等からなる企業グループの株主資本等の変動を示した書類です。支配会社が単独で作成する個別株主資本等変動計算書とは異なり、子会社等の財務諸表を合算して作成されます。
連結株主資本等変動計算書では、企業グループの株主資本等の変動がわかります。企業グループの資本金、資本剰余金、利益剰余金、評価差額金、自己株式、非支配株主持分の変動が記載されています。
資本金は企業グループの発行済株式数に額面価格を乗じた金額であり、資本剰余金は企業グループの利益剰余金から配当金を差し引いた金額です。また、利益剰余金は企業グループの営業活動や投資活動によって得られた利益であり、評価差額金は企業グループの資産や負債を取得した際に発生した評価差額です。
さらに自己株式は企業グループが保有している自社の株式であり、非支配株主持分は企業グループの非支配株主が保有している株式の持分です。
連結財務諸表を作成する流れ
連結財務諸表を作成する流れは、以下のとおりです。
➀個別の財務諸表を作成
連結財務諸表を作成する場合は、最初に支配会社と子会社等からなる企業グループ全体の個別財務諸表を作成しなければなりません。個別財務諸表とは、支配会社が単独で作成する財務諸表です。
➁個別の財務諸表を合算
個別財務諸表を作成したら、次に子会社等の個別財務諸表を合算して、連結財務諸表を作成します。個別財務諸表を合算する際は、以下の点に注意する必要があります。
- 同一の科目で合算する
- 同一の期で合算する
- 同一の評価基準で合算する
➂連結パッケージを入手
子会社等から個別財務諸表を入手する際には、連結パッケージを利用する場合があります。連結パッケージとは、子会社等から個別財務諸表を入手するためのフォーマットです。連結パッケージを利用すれば、子会社等から個別財務諸表を正確かつ効率的に入手できます。
④連結修正を実施
連結財務諸表を作成する際には、子会社等の個別財務諸表を合算するだけでなく、連結修正を行う必要があります。連結修正とは、子会社等の個別財務諸表を連結財務諸表に合算する際に、連結財務諸表の作成基準に沿って行う調整です。
連結修正では、以下のような作業が行われます。
- 子会社等の投資額と子会社の資本金を消去する
- 棚卸資産に含まれる未実現利益を消去する
- グループ間の債権債務や取引高等を消去する
- 子会社等の個別財務諸表に計上されている非連結項目を消去する
- 子会社等の個別財務諸表に計上されている連結上不適切な会計処理を修正する
連結修正は、企業グループ全体の財政状態および経営成績を明らかにするための重要なプロセスです。そのため連結修正を適切に行い、正確な連結財務諸表を提供しなければなりません。
⑤連結財務諸表を作成
最後に連結財務諸表を作成します。連結財務諸表は、子会社等の個別財務諸表を合算し、連結修正を行った上で作成されます。
連結財務諸表を作成する際の注意点
連結財務諸表を作成する際は、以下の点に注意する必要があります。
- 連結財務諸表の作成基準に準拠する
- 個別財務諸表を正確に合算する
- 連結修正を適切に行う
- 連結財務諸表を適切に説明する
どれも重要な過程であり、一つでも欠けていると適正な情報を提供できません。連結財務諸表を適切に作成することで、ステークホルダーは連結財務諸表から適切な情報を得られるのです。
まとめ
連結財務諸表とは、親会社とその子会社等からなる企業グループ全体の財政状態および経営成績を明らかにする書類です。連結財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書から構成されます。
連結財務諸表は、企業グループ全体の財政状態および経営成績を明らかにするための重要な情報源です。そのため連結財務諸表を作成する際には、さまざまな点に注意して適正に作成する必要があります。
しかし、実際に作成する上では非常に手間やコストがかかるため業務に支障が生じる場合もあるでしょう。
そこで便利なのが、株式会社EPコンサルティングサービスが提供するプロフェッショナルアウトソーシングサービスです。連結財務諸表の作成支援を含めたさまざまな経理サポートサービスを提供していますので、連結財務諸表の作成でお困りの方はぜひ弊社にご相談ください。