コラム

償却資産税の申告期限

会計・経理・税務

償却資産税って税金知っていますか?

皆さんは償却資産税という税金をご存じでしょうか?このコラムを読んでおられる方で経理、会計、税務に携わっている方であればご存じかと思いますが、そうでない方は耳にしたことはあるけれど、それほど馴染みの無い税金かも知れません。

償却資産とは土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産をいいますので、事業を行っていない個人の方には課税されません。それが理由で世間一般的にはあまり知られていない税金となっています。

償却資産とは例えば、外構工事、看板、内装、各種機械装置、ブルドーザー等の特殊自動車、パソコン、複合機、エアコン、テーブル等、、、挙げればきりがないですが、このような資産をいいます。特にどこの会社でも出てくるのがパソコンでしょうか。

償却資産を所有している方は毎年1月1日現在所有している償却資産の内容について1月31日までに償却資産の所在する市区町村(東京23区の場合は都税事務所)に申告する必要があります。

償却資産税の計算方法

償却資産税の税額の計算方法は以下の通りとなります。

償却資産税額=課税標準額×1.4%

*税率は市区町村等により多少異なります

課税標準額:取得価額等×(1-減価率)

*取得した年度は取得価額等×(1-減価率÷2)

*減価率は耐用年数に応じた率となり決まっています

例えば100万円の機械装置(耐用年数は8年とし、減価率は0.25です)を取得した場合の償却資産税は以下の通りとなります。

課税標準額:100万円×(1-0.25÷2)=875,000円

償却資産税額:875,000円×1.4%=12,200円(100円未満切捨て)

*課税標準が小さい場合は免税があります。原則課税標準の合計額が150万円未満の場合は課税されません。

納付はいつするのでしょうか?

申告期限は1月31日ですが、納付については1月31日ではなく、申告書に基づいて市区町村等が納付額を計算して、納付書を送ってきますので、その納付書に従って納付することになります。納付期限は市区町村等により異なりますが、4月や5月ぐらいに納付書が送られてくることが多いです。

償却資産税の申告期限変更のリクエスト

法人税や消費税は法人の決算月によって申告期限が異なります。基本的には決算日から2ヶ月以内に申告することになります。一方で償却資産税の申告期限は上記のように毎年1月31日となっています。申告期限は法人の決算月が何月であっても1月31日となります。このため決算日以外に1月1日時点の償却資産の状況を別途管理して把握する必要があります。つまり決算日が1月1日という法人以外はこの作業は2度手間となります。実際に決算日を1月1日としている法人はほぼゼロだと思いますので、全ての法人が2度手間の作業をおこなうことになります。

また、法人税や消費税が決算日から2ヶ月後が申告期限であるのに対して、償却資産税は1ヵ月後となり、作業時間が少なく期日までタイトとなります。しかも通常私達には年末年始の休みがありますので、実際に作業が出来る時間は1ヵ月もありません。

このような理由から償却資産税の申告期限の変更を求める声は以前から挙がっており議論はされていますが、まだ具体的な改正の方法や時期については定まっていません。

1月は営業日数も少なく、他にも法定調書の作業や12月決算法人の作業もあるため、個人的には償却資産税の賦課期日(税金を課税する基準日のことで、簡単に言うとこの日に保有しているものに対して税金を課税しますよということです)を法人の決算日と同じ日にしてもらって、そこから2ヶ月後に申告(延長申請を出せば3ヵ月後に申告も可能)にしてもらえると繁忙期の分散もできますし嬉しいです。これを望んでいるのは私だけではないと思います。

武田 哲尚

武田 哲尚Tessho Takeda

ACCTソリューション事業部 取締役事業部長 税理士 税理士法人EOS代表社員 2002年EPコンサルティングサービスに入社。国内事業会社・外資系事業会社・SPCの会計と税務を担当。

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