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出生後休業支援給付金、私も受給できますか?

給与・社保・人事労務

新年度が始まり、育児休業から復職された方、新たに育児に伴う短時間勤務を開始された方も多いかと思います。 既に弊社のWebサイトのニュース欄にて【人事労務2月号】でもご案内させて頂いておりますが、2025(令和7)年4月1日より、新しい育児休業に関する給付が2つ創設されました。 今回は、その1つである出生後休業支援給付金の対象者について、見ていきたいと思います。

出生後休業支援給付金とは

共働き・共育てを推進するため、子の出生直後の一定期間に、両親ともに(配偶者が就労していない場合などは本人が)、14日以上の育児休業を取得した場合に、出生時育児休業給付金または育児休業給付金と併せて「出生後休業支援給付金」が最大28日間支給されます。

(1)支給要件

①被保険者が、対象期間に、同一の子について、出生時育児休業給付金が支給される産後パパ育休または育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14日以上取得したこと。

②被保険者の配偶者が、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14日以上の育児休業を取得したこと、または、子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること。

(2)対象期間

・被保険者が産後休業をしていない場合(被保険者が父親または子が養子の場合)は、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間。

・被保険者が産後休業をした場合(被保険者が母親、かつ、子が養子でない場合)は、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日」までの期間。

2025年4月1日より前から引き続いて育児休業をしている場合は、下線部分を「2025年4月1日」として要件を確認することになります。

2025年2月生まれや2025年3月生まれの場合、対象期間が出生後休業支援給付金制度の開始日である2025年4月1日をまたぐ可能性がありますので、注意が必要です。

(3)出産月ごとの事例

①子の出生または出産予定日が2025年4月1日以降の場合

(例)被保険者が男性、配偶者の出産日が2025年4月1日、出産予定日が2025年4月5日の場合

→ この場合、対象期間は出産日である2025年4月1日から2025年5月31日(出産予定日の2025年4月5日から起算して8週間後の翌日)までです。被保険者は、この期間に14日以上の育児休業を取得することが必要となります。

②子の出生または出産予定日が2025年2月の場合

(例)被保険者が男性で、配偶者の出産日・出産予定日がともに2025年2月3日の場合

→ この場合、対象期間は2025年2月3日から8週間後の翌日である2025年3月31日までとなります。しかしながら、この給付金は、2025年4月1日から施行されるもののため、このケースでは出生後休業支援給付金の対象とはなりません。

(例)被保険者が女性で、出産日・出産予定日がともに2025年2月3日だった場合

→ この場合、対象期間は2025年2月3日から16週間後の翌日である2025年5月26日までとなります。ただし、この給付金の施行日は2025年4月1日のため、起算日は2025年4月1日となります。 被保険者が女性のこのケースでは、2025年4月1日から2025年5月26日までが対象期間となります。

③子の出生または出産予定日が2025年3月の場合

(例)被保険者が女性で、出産日・出産予定日がともに2025年3月3日だった場合

→ この場合、対象期間は2025年3月3日から16週間後の翌日である2025年6月23日までとなります。ただし、この給付金の施行日は2025年4月1日のため、起算日は2025年4月1日となります。 被保険者が女性のこのケースでは、対象期間は2025年4月1日から2025年6月23日までとなります。

(4)給付の対象になり得る出産日の基準

結論としまして、施行日(2025年4月1日)から逆算した、出生後休業支援給付金の申請可能な対象者は、以下の通りとなります。

女性の場合は、2024年12月23日以降に出産した方

男性の場合は、2025年2月17日以降に配偶者が出産した方

おわりに

会社の従業員から、「ニュースでこんな給付金が出来たということを知ったのですが、私はこの給付金を受給することができますか?何を提出すれば良いですか?」といった、お問い合わせを受ける人事ご担当者様も多いと思います。

EPコンサルティングサービス/社会保険労務士法人EOSでは、給与計算や労働・社会保険手続き、規則改訂サポート等、様々なご相談に対して対応させて頂いております。 日々の業務で、お困りのことがありましたら、お気兼ねなく、お問合せ頂ければ幸いです。

角下 梨絵Rie Sumishita

HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士試験合格後、EPコンサルティングサービスに入社。現在、事業部のマネジ メントの他、外資系企業の給与計算、社会保険及び労務管理を中心に担当

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