コラム

定額減税FAQ

給与・社保・人事労務

新年度を迎え、給与改定や人事異動などの業務も一通り少し落ち着かれた頃でしょうか。

さて、2024年2月のコラムでもご案内しました定額減税制度について、弊社クライアントからもいくつかご質問をいただきましたので、実務が始まる前に、いくつかご紹介したいと思います。

Q1:定額減税の対象者は誰ですか。

A1:①所得税:令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である人

です。この合計所得とは、所得税法上の令和6年分の合計所得金額とし、退職所得金額を含みます。

②住民税:前年の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合、給与収入2,000万円以下に相当)である所得割の

納税義務者。住民税は前年の所得に対して課税されるため、令和5年分の所得金額により判定されます。

Q2:定額減税の対象となるものを教えてください。

A2:令和6年分の所得税および住民税です。

Q3:月次減税の計算対象になる範囲は、どんな人でしょうか。

A3:下記の人となります。

・従業員本人(扶養控除等申告書を提出している居住者)

・同一生計配偶者

・扶養親族(16歳未満も対象)

※配偶者と扶養親族は、合計所得金額が48万円以下である居住者である必要があります。

Q4:月次減税額を計算するに当たって、基準日在職者から新たに申告書を提出してもらう必要がありますか。

A4:定額減税額の計算に含める同一生計配偶者の有無や扶養親族の人数については、その基準日在職者が既に提出した

扶養控除等申告書に基づき把握することになりますので、新たに扶養控除等申告書を再提出してもらう必要はありません。

ただし、扶養控除等申告書に記載していない同一生計配偶者(令和6年中の所得金額の見積額が900万円超である基準日在職者の同一生計配偶者)や16歳未満の扶養親族について、月次減税額の計算に含める場合には、基準日在職者は「源泉徴収に係る申告書」を事前に提出する必要があります。

Q5:給与収入が 2,000 万円を超える人など、合計所得金額が 1,805 万円を超えることが確実な人についても、主たる給与の

支払者のもとで、月次減税の対象とするのですか。

A5:合計所得金額が 1,805 万円を超えることが見込まれる人であっても、基準日在職者に該当する場合には、月次減税の対象と

なります。

給与所得者については、主たる給与の支払者のもとで、令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等に係る源泉徴収において、月次減税額を順次控除することとされています。

合計所得金額が 1,805 万円を超えると見込まれるかどうかにかかわらず、主たる給与の支払者のもとで、令和6年6月以後の給与等に係る源泉徴収において、控除対象者は一律に減税額の控除を受けることになりますので、控除対象者自身が定額減税の適用を受けるか受けないかを選択することはできません。

Q6:6月の給与の支給日の前に賞与の支給を予定していますが、月次減税額はその賞与の源泉徴収税額から先に控除すること

になりますか。

A6:月次減税額は、令和6年6月1日以後最初に支払う給与等に係る控除前税額から順次控除することとされていますので、

その最初に支払う給与等が賞与であるか通常の給与であるかは問われません。

したがって、6月の最初に支払う給与等が賞与である場合には、その賞与から先に月次減税額を控除することになります。

Q7:他の給与の支払者のもとで基準日在職者であった人が、その後において再就職をした場合、再就職先での月次減税の適用

関係は、どのようになりますか。

A7:給与の支払者のもとで基準日在職者であった人が、その後において国内にある他の企業等へ再就職し、再就職先において

主たる給与の支給を受ける場合については、月次減税は行わず、年末調整時に年調減税を行うことになります。

Q8:令和6年7月以降に扶養親族の数が変わる場合は、月次減税額も変わりますか。

A8:例えば、7月に子の出生によって扶養親族の人数が増え、令和6年6月と7月とでは扶養親族の人数が異なることと

なっても、月次減税額の増額は行いません。

なお、こうした人数の異動により生ずる定額減税額の差額は、年末調整又は確定申告により精算されることになります。

Q9:令和6年1月1日の時点で扶養親族であった親族が、令和6年5月に亡くなったのですが、この親族は月次減税額の計算

に含めますか。

A9:令和6年6月1日以後最初の給与等の支払日の前日までに死亡した令和6年分の扶養親族についても、その親族の死亡の日

の現況で扶養親族であると判定されるのであれば、月次減税額の計算に含めることとされています。

Q10:月次減税額の控除を行う際に交付する給与明細書には、どのような事項を記載しますか。

A10:給与支払明細書には、実際に控除した月次減税額の金額を「定額減税額(所得税)×××円」、「定額減税×××円」

などと、適宜の箇所に記載していただくことになります。

Q11:前月の給与の金額(社会保険料等を差し引いた金額)の 10 倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を支払う

場合の源泉徴収税額の計算においては、「前月の給与に係る源泉徴収税額」を基に算出することになりますが、この場合

の「前月の給与に係る源泉徴収税額」とは、月次減税額を控除した後の金額ではなく、月次減税額を控除する前の税額になりますか。

A11:前月の給与の金額(社会保険料等を差し引いた金額)の 10 倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を支払う

場合の源泉徴収税額の計算に当たっては、前月の給与の金額に応じて「税額表に記載された税額」を基に算出することになります。そのため、「前月の給与に係る源泉徴収税額」は月次減税額を控除する前の税額になります。

Q12:給与所得に係る特別徴収の場合の住民税徴収方法

A12:令和6年6月分は徴収を行わず、「定額減税後」の年税額令和6年7月分~令和7年5月分の11ヶ月で均した税額を徴収しま

す。定額減税対象外の⽅は、例年どおり令和6年6⽉分から令和7年5⽉分の12ヶ月に分けて徴収します。

EPコンサルティングサービスでは、法改正等の内容やその影響を適切に把握し、企業及び人事担当者が実施すべき対応や決定をサポートしておりますので、気になることがありましたら、お気軽にお声がけ頂きたいと思います。

角下 梨絵Rie Sumishita

HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士試験合格後、EPコンサルティングサービスに入社。現在、事業部のマネジ メントの他、外資系企業の給与計算、社会保険及び労務管理を中心に担当

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