コラム

もう、そんな時期!?年末調整の基本的事項を説明します!

給与・社保・人事労務

まだまだ暑い日が続くようですが、夏と秋の境目となる季節が近づいてきました。 毎年、8月のお盆休みが終わると、人事担当者の方から「今年の年末調整は、何か昨年と違うことはありますか?」というお問合せを頂く事が増えてくるため、私たちも少しずつ年末調整モードに切り替わってまいります。

そこで今回は、令和5年の年末調整について触れてみたいと思います。

年末調整とは

年末調整とは、年末調整とは、給与から源泉徴収(天引き)した所得税額の年間の合計額と、年税額を一致させる精算の手続です。

大部分の給与所得者は、この年末調整によって、その年の所得税の納税が完了することになりますので、年末調整は給与所得者にとって大切な手続です。

年末調整の対象者

年末調整の対象になるのは以下の従業員です。

(1)1年を通じて勤務している人

(2)年の中途で就職し、年末まで勤務している人

(3)年の途中で退職した人のうち、次の人

イ 死亡により退職した人

ロ 著しい心身の障害のため退職した人で、当年12月31日までに再就職が出来ないと見込まれる人

ハ 12月中に支給期の到来する給与の支払いを受けた後に退職した人

ニ パートタイマーやアルバイトとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人(本年中に他の勤務先等から給与の支払いを受けると見込まれる場合を除きます。)

ホ 年の中途で、海外支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人

※年末調整の対象とならない人は、ご自身で確定申告をして税額の精算をすることになります。期限内に住所地の所轄税務署長に確定申告書の提出が必要です。

年末調整の提出書類

年末調整に必要な提出書類は以下の通りです。

(1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

(2)基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

(3)給与所得者の保険料控除申告書…該当者のみ

添付書類として、保険料控除証明書の提出が必要です。

(4)給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書…該当者のみ

添付書類として、金融機関が発行した住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書の提出が必要です。

令和5年の法改正について

令和5年分の年末調整においては国外居住親族(非居住者)である扶養親族の扶養控除について、変更があります。

令和5年1月より、扶養控除の対象となる国外居住親族は、扶養親族のうち、次の(1)から(3)までのいずれかに該当する者に限られることとされました。この国外居住親族とは、どういう方が該当するのかというと、日本国内で勤務する外国籍の方の扶養親族や、お子様が留学等により海外に居住される場合などが該当することになると思います。

(1)年齢 16 歳以上 30 歳未満の者

(2)年齢 70 歳以上の者

(3)年齢 30 歳以上 70 歳未満の者のうち、次のイからハまでのいずれかに該当する者

イ 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者

ロ 障害者

ハ その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払38万円以上受けている者

この国外居住親族について、扶養控除の適用を受けようとする居住者は、給与等又は公的年金等の支払者に一定の確認書類(親族関係書類・留学ビザ等書類・送金関係書類・38 万円送金書類)の提出又は提示をする必要があります。

今回の改正により、扶養親族の年齢による制限が新設され、30歳以上70歳未満の者については、留学生・障害者を除き、送金額の要件が設けられましたので実質的に扶養している事実を、より厳格に確認する法改正であると言えます。

スムーズな年末調整の手続きに向けて

弊社のクライアント様の中でも、国外居住親族を扶養にする外国人従業員が、年々増えているような印象です。適切な申告を行っていただくためにも、今の時期から確認書類の準備を進めて頂く事を推奨致します。

ご不明点等がございましたら、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

EPコンサルティングサービス及び社会保険労務士法人EOSでは、給与計算、社会保険手続きをワンストップでご提供することが可能です。企業および人事担当者様の抱える小さな疑問から大きな課題解決のサポートをしておりますので、気になることがありましたら、お気軽にお声がけ頂きたいと思います。

角下 梨絵Rie Sumishita

HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士試験合格後、EPコンサルティングサービスに入社。現在、事業部のマネジ メントの他、外資系企業の給与計算、社会保険及び労務管理を中心に担当

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