コラム

準備は出来ていますか!?2025年人事労務関連の法改正

給与・社保・人事労務

2024年も間もなく終了致しますが、10月下旬以降にスタートした年末調整も無事に終了しておりますでしょうか。今年は、6月に実施された定額減税の影響もあり、今まで以上に気を遣う年末調整だったのではないかと思います。

来月から2025年となり、年末調整の継続作業として法定調書及び給与支払報告書の業務が残っているかとは思いますが、2025年も人事労務関連の法改正がありますので、その準備も行わなければなりません。

そこで今回は、2025年にどのような法改正が行われる予定であるのか、その概要をご紹介させて頂きます。

2025年1月

(1)労働安全衛生法:電子申告の義務化

まず、年明け早々、労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告の報告事項が改正されると共に、下記の手続の電子申請が義務化されます。

①労働者死傷病報告

②総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告

③定期健康診断結果報告

④心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告

⑤有害な業務に係る歯科健康診断結果報告

⑥有機溶剤等健康診断結果報告

⑦じん肺健康管理実施状況報告

2025年4月

2025年4月は、複数の法改正が実施される予定ですので、注意が必要です。法改正の中には、労働者へ直接、影響のあるものもありますので、必要に応じ、事前に説明を行うことも検討する必要があるかと思います。

(1)障害者雇用促進法:除外率の引下げ

障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令の改正により、障害者雇用率の算定にあたって、除外率が設定されている業種については、一律の10%の引下げが行われます(現在除外率が10%以下の業種については除外率制度の対象外となります。)。

(2)育児・介護休業法:各種制度の見直し

現在、毎年のように法改正が実施されている育児・介護休業法ですが、2025年4月に再度、法改正が行われます。今回は、その法改正の中でも、就業規則の変更が必要なものを記載させて頂きます。

①子の看護休暇の見直し

対象となる子の範囲が「小学校3年生修了」にまで拡大すると共に、取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖等」と「入園(入学)式、卒園式」が追加されることとなります。また、労使協定による継続雇用期間6か月未満除外規定が廃止され、労使協定により除外できる労働者が「週の所定労働日数が2日以下」の労働者のみとなります。

②所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

請求可能となる労働者の範囲の拡大し、現在の「3歳未満の子を養育する労働者」から「小学校就学前の子を養育する労働者」に変更となります。

③短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加

現在、代替措置は「育児休業に関する制度に準ずる措置」と「始業時刻の変更等」の2つですが、そこに「テレワーク」が追加されることとなります。

④育児のためのテレワーク導入

3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

⑤介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

労使協定による継続雇用期間6か月未満除外規定が廃止され、労使協定により除外できる労働者が「週の所定労働日数が2日以下」の労働者のみとなります。

⑥介護のためのテレワーク導入

要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

(3)労働保険徴収法:雇用保険料率の変更

現在、雇用保険料率は、一般の事業で15.5/1,000(労働者:6/1,000、事業主9.5/1,000)となっておりますが、1ポイント引き下げられ、14.5/1,000(労働者:5.5/1,000、事業主9/1,000)となる予定です。

(4)雇用保険法:各種給付の見直し

①自己都合離職時の給付制限の見直し

自己都合離職者に対しては、失業給付(基本手当)の受給にあたって給付制限が設けられていますが、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限が解除されることとなります。このほか、通達の改正により、原則の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月へ短縮されます。一方、5年間で3回以上の自己都合離職の場合には給付制限期間は3ヶ月となります。

 ②高年齢雇用継続給付の支給率の変更

高年齢雇用継続給付の支給率が下記のように変更となります。

60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方はその期間が5年を満たすこととなった日)が

・2025年3月31日以前の方

… 各月に支払われた賃金の15%(従来の支給率)を限度として支給

・2025年4月1日以降の方

… 各月に支払われた賃金の10%(変更後の支給率)を限度として支給

おわりに

今回は、2025年に行われる人事労務関連の法改正を取り上げさせて頂きました。 今後、企業を取り巻く環境は、今後も変わり続けていくかと思いますが、2025年が皆様にとって今年以上の良い年になれば幸いでございます。

EPコンサルティングサービス/社会保険労務士法人EOSは、今回ご紹介させて頂きました法改正等に対しても、経験と実績のあるスタッフが、各企業の実態を把握しサポートさせて頂きますので、気になることがございましたら、いつでもお問い合わせ頂ければと思います。 それでは、2024年も大変お世話になりました。2025年も引き続き、宜しくお願い申し上げます。

角下 梨絵Rie Sumishita

HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士試験合格後、EPコンサルティングサービスに入社。現在、事業部のマネジ メントの他、外資系企業の給与計算、社会保険及び労務管理を中心に担当

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