コラム

健康保険の被扶養者認定の年間収入の算定対象要件が見直しされます

給与・社保・人事労務

弊社のクライアント様から、「配偶者やその他のご家族を健康保険の扶養に入れられますか?こういう状況だと難しいですか?」といったご相談を頂く事がたくさんあります。この春より、収入要件についての見直しがありますので、ご案内したいと思います。

労働契約に定めのない賃金は年間収入に含めず

厚生労働省は 令和7年10月1日、健康保険の被扶養者認定について、 年間収入の基準額の算定対象を見直す方針を示しました。

労働契約に明確な規定がなく、契約締結段階では見込むことが難しい時間外労働に係る賃金等については、被扶養者の認定における年間収入に含めない取扱いに見直す。被扶養者認定の予見可能性を高めることで、認定対象者の就業調整を回避するのがねらいとなります。 令和8年4月1日から適用となります。

残業等で基準額を超えても扶養取り消されず

被扶養者の認定における年間収入要件は、130万円などの基準額未満(表1参照)であり、かつ、他の収入が見込まれず、①認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合は、被保険者の年間収入の2分の1未満であると認められる場合、②認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合は、被保険者からの援助による収入額より少ない場合に、被扶養者に該当する。また、その算定対象となる収入は「収入がある者についての被扶養者の認定について」 (昭和52年4月6日保発第9号・庁保発第9号厚生省保険局長及び社会保険庁医療保険部長連名通知) 等に基づき、認定対象者の「過去の収入、 現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、 今後1年間の収入の見込みにより判定する」 とされ、時間外労働に係る賃金等を含むあらゆる収入が対象となっていました。

今般、同省は新たに「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」(令和7年10月1日保保発第3号・年管管発第3号厚生労働省保険局保険課長及び年金局事業管理課長連名通知)を発出してこの取扱いを変更しました(表2参照)。

当初は想定されなかった時間外労働の賃金等により、結果的に年間収入が基準額以上になった場合であっても、その収入が社会通念上妥当な範囲に留まる場合には、これを理由として、被扶養者としての取扱いが変更されないことを明確化することとなります。

認定の適否は労働条件通知書等で確認

保険者が行う被扶養者認定の適否は、事業主から交付された労働条件通知書等の労働契約の内容がわかる書類の添付と、認定対象者に「給与収入のみである」 旨の申立てによって判断することとなります。 労働契約が更新された場合や労働条件に変更があった場合には、被扶養者に係る確認を実施することとし、条件変更の都度、その内容がわかる書面等の提出が必要となります。

なお、給与収入以外に他の収入(年金収入や事業収入等) がある場合における年間収入の取扱いについては、従前のとおり変更はありません。

おわりに

今回は、被扶養者の認定要件という事で、従業員からお問い合わせが比較的多いテーマではないかと思われます。個人ごとに状況が異なるため、確認することも多々あるかと思いますが、EPコンサルティングサービス/社会保険労務士法人EOSでは、給与計算や労働・社会保険手続き、規則改訂サポート等、様々なご相談に対して対応させて頂いております。お手伝いできることがありましたら、お気兼ねなく、お問合せ頂ければ幸いです。

角下 梨絵Rie Sumishita

HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士試験合格後、EPコンサルティングサービスに入社。現在、事業部のマネジ メントの他、外資系企業の給与計算、社会保険及び労務管理を中心に担当

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