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2024年、少し早い振り返り -今年の法改正、積み残しはありませんか-
さて、11月もまもなく終了し、今年も残すところ、あと1カ月となりました。もし、皆さんが1月に今年の目標を立てているようでしたら、その目標の達成度合いは、いかがでしょうか。 今年はどのような1年だったのかという振返りを実施し、次に繋げていくことは非常に重要なことであると共に、その振返りを実施することで、出来なかったことや積み残しの確認も出来るかと思います。
そこで今回は、2024年に行われた主要な人事・労務関係の法改正を簡単に振り返ってみたいと思いますので、未対応のものがないか、是非、今年の最終チェックを実施してみてください。
労務関係
労務関係では、2024年4月に労働基準法、職業安定法及び障害者雇用促進法の改正がありましたが、ここでは労働基準法の法改正について、振返ってみたいと思います。
1.労働条件明示事項の追加
労働契約の締結および更新のタイミングで、明示が必要な事項が追加となりました。4月時点でも意識していたものの、今現在では出来ていないケースもあるかと思いますので、下記の事項を再確認してみてください。
(追加事項)
①全ての労働契約締結時:
就業場所、業務の変更の範囲(変更の範囲とは、将来の配置転換等により変わる可能性のある就業場所・業務の範囲)
②有期労働契約締結時および更新時:
就業場所、業務の変更の範囲、更新上限の有無(通算契約期間または更新回数上限)と内容(新しく更新上限を新設・短縮する場合は事前に理由を労働者に説明)
③無期転換申込権が発生する契約更新時:
就業場所・業務の変更の範囲、無期転換申込機会の明示、無期転換後の労働条件の明示
2.裁量労働制
新たな手続きとして本人の同意等が追加となりました。
労働・社会保険関係
労働・社会保険関係については、大きく1つの法改正と、これから行われる法改正について見てみたいと思います。
1.社会保険適用拡大
2024年10月からパートタイム労働者等短時間労働者への社会保険の適用が拡大されました。従来は100人を超える企業が対象となっていましたが、10月からは50人に変更されています。適用拡大のタイミングでは年金事務所から各企業宛に通知が送付されたため、その時点で、人事担当者等が確認を実施しているかと思いますが、その後に入社された短時間労働者の方の社会保険(健康保険及び厚生年金)の加入手続きが漏れていないか、念のため、確認してみてください。
2.マイナ保険証
12月2日から健康保険証とマイナンバーカードが一体化されます。いわゆるマイナ保険証ですが、マイナンバーカードを持っていない等の一定の方には、従来の健康保険証と同様のものとして資格確認書が発行されることとなりますが、現時点においては、その発行までの期間は従来の健康保険証の時よりも時間を要するようですので、もし、マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない方の入社等があった場合には、その旨を伝えておくと良いかもしれません。
税務関係
2024年6月に源泉所得税及び住民税について定額減税がありました。そこで、源泉所得税についての定額減税、住民税についての定額減税、それぞれについて振り返ってみたいと思います。
1.源泉所得税に関する定額減税
もしかすると、直前まで月次減税の対応をされていた方もいるのではないかと思いますが、本人、同一生計配偶者及び扶養親族に対し、それぞれ30,000円の定額減税が実施されました。 既に減税額の対応が完了していれば、今後、大きな対応はありませんが、扶養親族の数が変更になった場合等は、年末調整時に調整が入ることとなりますので、注意が必要です。 また、年末調整処理が完了後に、出生等により扶養親族が増加したような場合は再年末調整を実施する必要がありますので、この点については、今年の論点として注意が必要です。
2.住民税に関する定額減税
「6月は、給与の手取りが多かったな」と記憶している方もいるのではないでしょうか。通常、年間の住民税が12分割され6月から翌年5月までの12か月間で給与から控除されていたものが、今年は、定額減税の影響で11分割となり、7月から翌年5月までの11カ月間で控除されています。これに関しては、今年中に何らかの対応が必要ということにはなりませんので、ご安心ください。
おわりに
冒頭に申し上げました通り、今年も残すところ1カ月となりました。今回は2024年の人事・労務に関する主要な法改正を振返ってみましたが、如何でしたでしょうか。もしかすると、懐かしいと思うものもあったかもしれません。一方、実は対応出来ていない又は忘れていたというものがあれば、どう対応するか計画を立て、少しずつでも進めて行きましょう。 EPコンサルティングサービス/社会保険労務士法人EOSは、給与計算・社会保険手続き、人事労務コンサルティングサービスの提供を通じ、クライアントのコアビジネスをサポート実施しております。何か気になることや分からないことがあれば、お気兼ねなく、お問合せ頂ければ幸いです。経験豊富なプロフェッショナルスタッフが皆様の課題を的確に捉え、しっかりと現状に寄り添いながらサポートを行わせて頂きます。
Yoshito Matsumoto
HR Solution Division/Director and Business Manager Specified Social Insurance and Labor Attorney Social Insurance Labor Consultant Corporation EOS Representative employee Master of Comparative Law, Japan Labor Law Association After graduating from graduate school, he was a consultant at the Tochigi Labor Bureau and worked at a social insurance and labor attorney office in Yokohama, then joined EPCS.