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【人事労務2月号】【法改正】2023年3月及び4月の法改正について
【法改正】2023年3月及び4月の法改正について
2023年も既に2カ月目に入っているところでございます。昨年11月以降、3カ月間休刊させて頂いておりましたので、今回は、2023年3月及び4月に予定されている主たる法改正について、ご紹介させて頂きます。
まず、3月及び4月に予定されている法改正は、概ね、以下の通りとなっております。
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【予定されている主たる法改正】
(3月)
①健康保険法 :協会けんぽの保険料率の変更
(4月)
①労働基準法 :給与デジタル払いの解禁
②労働基準法 :中小企業に対する割増賃金率の適用猶予措置の廃止
③育児・介護休業法:育児休業の取得状況の公表義務
④健康保険法 :出産育児一時金額の増額
⑤雇用保険法 :雇用保険料率の変更
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以下では、上記の各法改正について、その概要をご説明させて頂きます。
▶︎健康保険法:協会けんぽの保険料率の変更(2023年3月)
2023年度の協会けんぽの健康保険料率が下の表の通り、変更となります。
今回変更される健康保険料率及び介護保険料率は、2023年3月分(4月納付分)から、適用となりますので、給与計算における保険料徴収の際には、お間違いのないようにご注意ください。
※給与計算上の社会保険料の徴収という視点では、以下の通りとなります。
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①社会保険料が当月徴収となっている → 3月の給与計算から新料率で徴収
②社会保険料が翌月徴収となっている → 4月の給与計算から新料率で徴収
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※任意継続被保険者及び日雇特例被保険者の方は4月分(4月納付分)から変更となります。
※下の表に記載のない道府県の料率は全国健康保険協会のホームページをご参照ください。
※40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、これに全国一律の介護保険料率(1.82%)が加わります。
▶︎労働基準法:給与デジタル払いの解禁(2023年4月)
給与の支払いにつきましては、銀行その他金融機関の預金または貯金の口座に支払っているケースが殆どかと思いますが、今後、デジタルマネー(いわゆる、〇〇ペイ)での支払いが可能となります。
口座振込み等は、書面又は電磁的記録による個々の労働者の同意により開始し、その書面等には次の(1)から(3)までに掲げる事項を記載することとなります。ただし、資金移動業者口座への賃金の資金移動を行う場合には、労働者が指定する指定資金移動業者に応じて、その書面等に次の(4)に掲げる事項も記載することとされております(令和4年11月28日基発1128第4号)。
【書面等への記載事項】
(1)口座振込み等を希望する賃金の範囲及びその金額
(2)労働者が指定する金融機関店舗名並びに預金又は貯金の種類及び口座番号、労働者が指定する証券会社店舗名及び証券総合口座の口座番号、又は労働者が指定する指定資金移動業者名、資金移動サービスの名称、指定資金移動業者口座の口座番号(アカウントID)及び名義人(その他、指定資金移動業者口座を特定するために必要な情報があればその事項(例:労働者の電話番号等))
(3)開始希望時期
(4)代替口座として指定する金融機関店舗名、預金若しくは貯金の種類及び口座番号又は代替口座として指定する証券会社店舗名及び証券総合口座の口座番号
また、給与デジタル払いに関し、現在、厚生労働省のホームページで「よくあるご質問への回答」が出ておりますので、一部、ご紹介させて頂きます。
▶︎労働基準法:中小企業に対する割増賃金率の適用猶予措置の廃止(2023年4月)
割増賃金率の変更に関しましては、2022年8月号(Vol.131)に記載させて頂きましたが、再掲させて頂きます。
また、具体的な算出方法は、次の通りとなります。
時間外労働の集計は、起算日からの積上げとなります。そのため、上記カレンダーの色に基づき、下記の通りとなります。
- 白色部分 (60時間以下) → 割増賃金率25% → 60時間分の60時間以下に対する割増賃金
- 緑色部分 (60時間超) → 割増賃金率50% → 10時間分の60時間超に対する割増賃金
- オレンジ色部分 (法定休日労働) → 割増賃金率35% → 10時間分の法定休日労働に対する割増賃金
▶︎育児・介護休業法:育児休業の取得状況の公表義務(2023年4月)
2022年4月以降、育児・介護休業法の改正が続いておりますが、今回の改正をもって、2022年4月以降に予定されていた法改正も全て施行されることとなり、詳細は、下記の通りとなります。
▶︎健康保険法:出産育児一時金額の増額(2023年4月)
出産育児一時金につきましては、現在42万円となっておりますが、4月以降は50万円に引き上げられることとなりました。
▶︎雇用保険法:雇用保険料率の変更(2023年4月)
雇用保険料率につきましては、2022年10月に変更されましたが、2023年4月に再度、変更されることとなり、一般の事業における雇用保険料率は、下の表のとおりとなります。
なお、農林水産及び清酒製造の事業、建設の事業におきましても、労働者負担及び事業主負担がそれぞれ増加することとなっております。
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Social Insurance Consulting Firm EOS Firm News Vol. 134